これはかつて、京都府の山中で2人の主婦が凄惨な死を遂げた『長岡京ワラビ採り殺人事件』に関する記事の【パート10】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~9】をお読みください。
【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説
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『長岡京ワラビ採り殺人事件』の犯人
警察は本事件の犯人は単独犯であると断定したが、これは本記事においても同様である。
そして最終的に本記事が導き出した犯人は、“ワラビ採れますか?”の声掛けの男(本記事では容疑者Bとして前出)。
容疑者B
事件から約1年前、このとき入山していた女性に「ワラビ採れますか?」と声をかけた中年の男がいた。年齢は40~45歳くらいで軽装であったという。
この当時、その周辺(後の事件現場付近)では同様の声掛け事案が発生していたという。そして事件の1週間前、このときこの山中で山菜取りをしていた女性に「山菜、採れますか?」と声をかけた男がいた。この男も40~45歳くらいの見た目で、身長は約170cm。グレーの作業着姿、刃渡り30cmほどの包丁を手に持っていたという。このとき男がいたのは後の事件現場からわずか300メートルの地点であった。
このとき、女性はそこから少し離れた場所にいた夫と子どもの元へ走って逃げたという。それによってか否か、女性はこれといったトラブルに見舞われることはなかった。
事件後、警察はこの女性の証言に基づき男の似顔絵を作成。これは一般に公開されたことから、警察側もこの男に強い疑いを抱いていたことが窺える。しかし男の身元は特定できず。※本記事ではこれら2つの目撃証言の男は同一人物であると考える。
声掛け男が本事件の犯人であるという根拠は上記のとおりである。
さらなる根拠として挙げられるのは、殺害現場に残されていた革靴の足跡。警察もこの男の人物像を「サラリーマン風」としており、この人物像と革靴との”親和性”は高い。さらに、本事件以降、それまで頻出していたこの声掛け男がぱったりと姿を現さなくなったことだ。
そして、この声掛け男を本事件の犯人と推察するならば、これは断言しておかなくてはならない。本事件『長岡京ワラビ採り殺人事件』と、その5年後に起きた「長岡京主婦放火殺人事件」の因果関係はない。つまり、本事件の唯一の生存者はそもそも存在しなかったということである。
もうひとつの推察
先にも述べたが、本事件の考察は非常に迷った。そして結果的に2人の犯人に辿り着いた。1人目は前出の声掛け男。そしてもう1人は―。
仮にこの仮説を推すと、先述の”レシートのくだり”を無視(否定)する形になる。さらに、
本事件『長岡京ワラビ採り殺人事件』と、その5年後に起きた「長岡京主婦放火殺人事件」の因果関係はない。
そしてこの断言も撤回せねばならない。
というのも、明石さんの夫と木下さん(Aさん/「長岡京主婦放火殺人事件」被害者)の夫の職場が同じであったという情報が存在しているからだ。何が言いたいのかといえば、つまり本事件の犯人が”明石さんの夫ではないのか”ということである。※あくまで仮説
その根拠は以下のとおり。
殺害された明石さんの体内から精液が検出。しかし着衣の乱れがない
遺体の体内から精液が検出されているにもかかわらず、ジーパンや下着を穿いていた(整っていた)。これは明石さんの夫が明石さん殺害時に性交に及んだのではなく、事件当日(例えば3時などの深夜、または早朝)に性交を行っていれば膣内の精液は検出されるのでないか。
また、妻であれば敢えて殺害時に着衣を脱がす必要はないともいえる(裸体をいつも見ている)。逆に下半身の衣服が脱がされ、ポロシャツをまくり上げられていた水野さん(他人の女性であるが故に性的興味を抱く)。この点からみても納得できる。
保険金目的であったかのような妻死後の振る舞い
明石さんの夫は妻の死亡によって得た保険金で新車を購入したり、ほどなくして恋人を作っていたといわれている。妻が残酷な死に方をしたのにもかかわらず、その心情としてすぐに恋人を作れるだろうか。この女性とは妻の生前からの関係も考えられる。するとこの殺害事件が妻の厄介払いのようにもみえなくもない。
一方、水野さんの夫は受け取った保険金を事件捜査に協力する形でこれを京都府警に寄付している。この両夫の対照的な点も疑いを強める要素である。
未解決事件だけにその謎は深い―。
本記事を締めくくる完結編【パート11】へ。お疲れさまでした。次でおわりです。