【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -6- 【考察シリーズ】

これはかつて、京都府の山中で2人の主婦が凄惨な死を遂げた『長岡京ワラビ採り殺人事件』に関する記事の【パート6】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~5】をお読みください。

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -1-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -2-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -3-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -4-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -5-

本事件の容疑者

この事件が殺人事件であることは間違いないのだが、肝心の犯人に結び付く決定的な手がかりがない。
なにしろ、犯行が行われたのは、白昼ながらも防犯カメラなどあるはずもない山中である(時代背景もあるが、立地的に)。犯人の残留物といった物的証拠や目撃証言も乏しい。犯人に辿り着くには、困難を極める状況であった。
しかし、少ないながらも事件の直近、また事件当日(推定犯行時刻内)の疑わしい人物の目撃情報は存在する。その中から筆者が精査した容疑者たちを以下に挙げる。

容疑者A


長岡京市内に住む少年犯行時刻内に、彼がどこか急ぐ様子で下山する様子が目撃されている。さらにこの少年は空手を習っており、しばしばこの山にサイクリングにきていた。
警察は、殺害された2人に多くの殴打痕があったことから、犯人に武術などの心得がある可能性を示唆していた。こうしたことから、少年は重要参考人として警察の捜査対象となるが、事件当日は終日別の場所にいたことが判明。
目撃証言は少年のこうした習慣を知る人物からのものであった。つまり、実際には目撃していなかったのにもかかわらず、この人物が自身の疑念だけで目撃証言をでっち上げた可能性が高い。

容疑者B


事件から約1年前、このとき入山していた女性に「ワラビ採れますか?」と声をかけた中年の男がいた。年齢は40~45歳くらいで軽装であったという。
この当時、その周辺(後の事件現場付近)では同様の声掛け事案が発生していたという。この男の目撃情報は水曜日と木曜日に集中しており、本事件が発生したのも水曜日である。

そして事件の1週間前、このときこの山中で山菜取りをしていた女性に「山菜、採れますか?」と声をかけた男がいた。この男も40~45歳くらいの見た目で、身長は約170cm。グレーの作業着姿、刃渡り30cmほどの包丁を手に持っていたという。このとき男がいたのは後の事件現場からわずか300メートルの地点であった。
このとき、女性はそこから少し離れた場所にいた夫と子どもの元へ走って逃げたという。それによってか否か、女性はこれといったトラブルに見舞われることはなかった。
事件後、警察はこの女性の証言に基づき男の似顔絵を作成。これは一般に公開されたことから、警察側もこの男に強い疑いを抱いていたことが窺える。しかし男の身元は特定できず。


サラリーマン風の見た目

「1年前の男」と「1週間前の男」

これら2人の男が同一人物であるという確証はない。しかし、本記事では2つの目撃証言の男は同一人物であると考える。

容疑者C・D


地元の不良グループに属する建設作業員の2人
2人は事件前日に犬を連れて後の事件現場となる付近をうろついていた(目撃証言に基づく)。さらに、事件当日の昼過ぎ(犯行時刻内)、彼らが現場付近にいたという目撃情報が寄せられた。また、この日の14時頃、山から下りていく姿を目撃されている。その様子はまるで逃げるようであったという。

これらの目撃証言もさることながら、事件後の2人の様子も非常に気になる。というのも、それまで素行の悪かった2人であったが、事件翌日から人が変わったように仕事を真面目に取り組むというように、不審な点がみられた。
尚、このうちの1人が空手を習っていたことが分かっている。前出の容疑者Aと同様、この点からも2人が強く疑われることとなった。
結果的に警察は彼らを重要参考人とし、任意で2人の事情聴取を行った。しかしながら、2人を雇う建設会社の社長が事件当日の彼らのアリバイを証言。決定的な証拠もないことからCとDの容疑は晴れた。

建設会社の社長によるアリバイ証言

いわば”身内”によるものである社長のアリバイ証言―。
その信憑性には幾ばくかの疑念が残る。2人を庇うために虚偽の証言をしたこともあり得る。


事件にはさらなる容疑者が―。【パート7】に続く。

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