九州大学生体解剖事件…人肉を食べたって本当?

九州大学生体解剖事件では、生きたままの捕虜にに対して”肺を切除”したり”薄めた海水を血管に注入”したりして8名の捕虜を死亡させました。

その後のGHQの裁判で関係者への聞き取りが行われその中から「人肉食」というとんでもない話が飛び出したのです。

生体実験をしたというだけでもかなりグロテスクですが、その上、人肉を食べていたとしたら…。

 

[char no=”4″ char=”Miiko”]生体解剖して食べるって…本当にそんなことがあったのかな[/char] [char no=”2″ char=”すぱもん”]どんなにお腹が空いててもちょっとできないよね[/char] [char no=”4″ char=”Miiko”]生体解剖はともかく人肉食にはでっち上げ説もあるんだよね[/char] [char no=”2″ char=”すぱもん”]そうなの?ちょっとほっとしたような…[/char]

人肉食事件はでっち上げ?

画像:Pixabay

九州大学生体解剖事件は、GHQに「類例ない野蛮さ」といわれた事件でした。当時のアメリカが日本にしたことも実験的なものがかなりあったわけですから、九州大学生体解剖事件を彼らから「類例がない」と言われるのもちょっと、納得できませんが…。

とにかくそのくらい衝撃的な事件であったことは事実です。

実際に、捕虜に対して生存の可能性が極めて低い手術を行ったことは事実ですし、非人道的なものだったことは確かです。そんな九州大学生体解剖事件の中でも、かなりぞっとするのが「人肉食事件」です。この実験の時に、肝臓を食べたのではないか…そんな疑惑があります。

実はこの人肉食については「GHQのでっち上げ」だという説もあります。実際に、この事件では関係者が有罪になり、1名は獄中自殺をしているのですが罪状は「生体実験をしたこと」や「埋葬しなかった」ことで、人肉食に関しては証拠がなく立件されていません。

関係者が取り調べを受けたのは戦後すぐの占領下の日本でした。つまり、敗戦国の日本国民が戦勝国のGHQから取り調べを受けたという訳です。当然、その取り調べは合法的に丁寧に行われたものではなく、拷問に近い取り調べだったとも言われています。

GHQ側からすれば、まだ若い搭乗員を実験材料にした憎き医師ですから、取り調べが厳しく過激だったことは想像に難くありません。人肉食に関しては、なかった…とも言い切れないしかといってあったとも言えません。この事件で有罪となり、後に獄中自殺した第一外科の医師は解剖に関しての記録をほとんど残していなかったとされています。

実験がおこなわれた当時の福岡は空襲で焼け野原となり、食べるものにも苦労する…そんな状況でした。その中で、人肉が食されたのか…。それを正確に知るすべはないのです。

 

 

参考資料:九大医学部アメリカ兵生体解剖事件

九州大学生体解剖事件は組織的に行われた?

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九州大学生体解剖事件に関しては、九州帝国大学(九州大学)はこれを否定しています。組織的なものではなく、一部の人間によって行われたものだった…というわけ。

生体解剖事件は食料が乏しかった当時の日本の事情なんかもあって「捕虜を適当に処分しなさい」という軍部からの命令が引き金になったと言われています。ですから、大学の指示があったというわけではないのでしょう。

ですが、大学の医学部の解剖室で大人数の医師や看護師の立ち合いのもと、海水を注入したり内蔵を切り取ったりする解剖が行われていたことを考えると、ゾッとしてしまいます。猟奇的な行為が「学問の場」で行われ、裁判では関係者29名が処罰されるに至ったのです。

大学の関与がなかったにしても、九州帝国大学医学部の組織的な計画や関与があって行われたことは否定できない事実です。

当時、大学も含めてほとんどの機関が軍に従うことや協力することを義務付けられていました。戦時中特有の力関係と人工血液の開発の欲求、そして、どのくらい出血すれば人は死ぬのかを確かめたいという探求心…そういった様々な要素がひとつになってこの事件は起こったのです。

実際に実験には軍の立ち合いや他の学科や大学からの見学者もいたそうです・・・。

参考資料:ダヴィンチニュース

人肉食に関しては無罪・・・だけど戦争が人を狂わせた

画像:Pixabay

当時、この生体解剖に医学生として立ち会った福岡市の男性は

「戦争は人を狂わせる。悲惨と愚劣しか残らない」

「当時の心理状態は平和な時代には考えられないほど、おかしな状態だった」                 引用:あじさい文庫だより

と話しています。大学入学後1カ月でおこった生体解剖事件…解剖ではなく手術だと言われていたそうです。戦争末期の中でまだ心臓が力強く鼓動する若い捕虜の身体にメスを入れた医師の心情はどのようなものだったのでしょうか。

そしてなぜでっちあげ説が出てくるのか…敗戦国日本に対するアメリカの支配をこの事件を通して垣間見ることができます。

まとめ

九州大学生体解剖事件では、健康な捕虜に対して生体解剖が行われ8名の捕虜が死亡しました。

この事件の取り調べで浮上した「人肉食疑惑」については、証拠がなく無罪とされていて、GHQのでっちあげだったという説もあります。日本を爆撃するために飛来した飛行機の搭乗員だった8名とその捕虜にメスを入れた医師…。戦争が狂わせた倫理観のゆがみが引き起こした事件でした。

 

 

Miiko

ライター歴約10年 法学系院卒 得意記事は、歴史・スピリチュアル・法律等々 福岡の隅っこでコーヒー片手に執筆中