人は同時発生的に同じ概念を持ちうるのか?
そのなぞに答えてくれるものの一つが獣の王ポトニア・テロン。
かつて、生物学者のライアルワトソン氏が提唱して話題となった動物間のテレパシー、日本の幸島の猿を題材にした論文など、様々な方面でその存在を信じる人は多いものです。
そしてもし、そのテレパシーが人類にもあるなら、世界の古代文明に共通点があってもおかしくない。
そう感じさせてくれる、ポトニア・テロンに迫っていきます。
公開日:2019年10月30日 更新日:2020年2月28日
獣の王ポトニア・テロン。
それは、様々な古代文明の壁画などに登場する同じモチーフの人物です。
ポトニア・テロンは、世界中の古代文明に現れる共通のモチーフ。
その姿は、両手を広げて立つ人間型の生物(髪か精霊のような姿も)で、特徴としてはその両手に2頭の動物を従えた姿で描かれているものです。
その姿が最初に確認されたのは紀元前6000年の遺跡ですからまさに有史以来ずっと描かれてきた姿。
まさに獣の王と称されるにふさわしいものです。
このポトニア・テロンの最大の謎は、世界中の歴史、文化、宗教を問わない様々な遺跡で見つかるという点。
しかもそのモチーフは、当然人種や文明様式によってデザインに若干の差異はあるものの、やはり決まった人物に2頭の獣が従う姿で書かれています。
それはまさに、何か共通の認識が古代人にあったことの証。
もしそうでないとすれば、この世界に獣の王であるポトニア・テロンが存在したことの証になるのです。
では世界各地のポトニア・テロンに迫ってみましょう。
最も古いポトニア・テロンの像に一つ、それがこのトルコにあるチャクタ・フユクの遺跡で発見された地母神像。
その姿は、地母神によく見られる豊満な女性の像で、王座とも玉座とも取れるその椅子に座った女性の両脇には猫科とみられる動物の姿が。
しかも出産中の姿であることもわかっていて、命の力を感じる像です。
世界一有名な文明であるといってもいいエジプト文明。
この、文明の雄ともいえるエジプト文明の遺跡から発見された象牙のナイフ、その柄の部分には一人の男性が両手にライオンを従えるまさに雄々しい姿が彫り込まれています。
この男は王であるとか羊飼いであるとか様々な事を言われてはいるが、そのモチーフはまさしくポトニア・テロンそのものです。
これもまた三大文明として名高いメソポタミア文明。
この、メソポタミア文明の遺跡から発見された竪琴に描かれているのはギルガメッシュ叙事詩に登場する家畜の神エンキドゥ。
そして描かれるその姿こそ、獣面の男性が両脇に獣を抱えている姿。
間違いなく、ポトニア・テロンのその姿なのです。
そしてもちろんインダス文明でも、このポトニア・テロンは見つかっています。
それが、パシュパティの印章といわれるもので、その姿はヨギー(修行者)であるとかシヴァ神の古い姿であるなどといわれていますが、その姿は間違いなくポトニア・テロン。
その姿は、牛の角をかぶりその両脇に動物を、そして周囲にも多くの動物を携える王にふさわしい威容です。
ミノア文明・ギリシャ文明・デンマークの古文明・アケメネス朝・イランの古文明・仏画。
このような文明の様々な遺跡で発見されている、ポトニア・テロン。
その姿は、いまだ地球のどこかに次なるポトニア・テロンが埋まっている可能性を感じさせてくれます。
遠く離れた土地に存在する同じ形のモチーフ。
しかも、単純な図形ではなく、複雑かつ統一感のある神や人の姿。
それが教えてくれることは、この世界に統一の神がいたことなのか、それとも人間に共通の意識体が存在するのか。
興味は尽きません。