これはかつて、京都府の山中で2人の主婦が凄惨な死を遂げた『長岡京ワラビ採り殺人事件』に関する記事の完結編【パート11】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~10】をお読みください。
【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説
【パート1】【パート2】【パート3】【パート4】【パート5】【パート6】【パート7】【パート8】【パート9】【パート10】
この事件の気になる点
さて、ここまで『長岡京ワラビ採り殺人事件』の解説と考察をお伝えしてきました。
謎の深い未解決事件―。とりわけ本事件は難解で、思考を巡らすといくつもの仮説が立ちました。しかし、それぞれの仮説同士で矛盾が生じ、まさに”あちらが立てばこちらが立たず”という状況でした。
やはり、この事件において最後まで解らなかったことがありました。終わりにそれらをお伝えして、本記事を締めくくりたいと思います。
筆者が最後まで解らなかったこと―、それらは以下のとおり。
レシート裏のメッセージの文章
- 「す」が書き直されていること(そのような時間的、精神的余裕があったのか)
- 漢字とひらがなであれば違和感がないが、これがカタカナ交じりであること
- どこか片言のような文章であること(外国人が書いたような感じがする)
犯人の犯行目的
本記事では本事件犯人を”声掛け男”と結論付けた。しかしそうなると、その目的が分からない。
現場には被害者2人の財布は手付かず。単なる強姦殺人にしては、あまりにも猟奇的。
仮に明石さんの夫を犯人と仮定しても、保険金を得るためにわざわざ他人を巻き込む必要があったのか。それもさることながら、やはりそこまで残忍な犯行に及んだ点が実に不可解である。
こうして総合的に考えると、本事件の犯人像は、
- 男性
- 単独犯
- 怨恨による殺人
これらは確定的といえるだろう。
猟奇的で謎の多い『長岡京ワラビ採り殺人事件』。
府警捜査本部は捜査員延べ25,000人を投入し、犯人逮捕に全力を挙げた。しかしその努力も虚しく、1994(平成6年)5月24日午前0時、公訴時効が成立―。
事件当時、『長岡京ワラビ採り殺人事件』はセンセーショナルな事件として日本中に連日報じられ、現代においても未だに社会的影響を持つ大きな事件であり続けています。
例えば2015年に放送されたテレビドラマ 「天使と悪魔 -未解決事件匿名交渉課-」(テレビ朝日)。この第5話「あけび山の殺人事件」は本事件がモデルとなっています。尚、このストーリー内では事件は解決しています。
フィクションの世界から現実世界に戻された時、”未解決”という事実がより鮮明に映っているような気がして心が痛みます。
公訴時効成立―。仮に今、本事件解決に結びつくような有力な情報が警察の元へ届いたとしても、時効が成立してしまったことに加え、食傷気味である警察はもう動かないでしょう。この許しがたい事件は迷宮入り、完全犯罪。いわば犯人側の勝利。
『長岡京ワラビ採り殺人事件』が未解決事件となった今、これが風化してしまったことは否めません。
この事件の答えを知るのは犯人、そして殺害された2人だけ。
犯人は現在、生きているのか―。生きていれば現在、高齢であることは間違いない犯人。現在までどんな気持ちで生きてきたのか。
もう死んでいるとすれば、その最期の瞬間に何を思ったのか―。
人としてあるまじき罪を犯し、裁かれることなくのうのうと生きてきた犯人を決して許してはいけない。
おわりに―、
本記事で導き出した考察とりわけ本事件の犯人に関しては、各所で飛び交うさまざまな邪推、これらを焚きつける意図で書かれたものではないことをここに記しておきます。
テンペワゾウスキ