「天皇家のルーツは渡来人にある」
そんな説を聞いたことはありますか?
前編では、考古学や日本の文化、信仰から、天王家のルーツが渡来系弥生人にあることを紹介しました。
後編ではさらに踏み込んで、日本神話に隠された天皇家のルーツをあばいていこうと思います。
日本神話は史実?フィクション?
『古事記』や『日本書紀』に描かれた日本神話は、私たちのルーツを探るうえで非常に重要です。
日本神話なんてしょせんは伝説、フィクションにすぎないと思っている方も多いかもしれません。
しかし創作だとされていたギリシア神話のトロイア戦争が史実であったり、中国の伝説の夏王朝や殷王朝が実在していた証拠が続々と見つかっているように、神話とはいえ、元となった出来事はかならず存在するはずです。
日本神話も、もちろん創作や誇張はあれど、ある程度の史実を反映していると考えられます。
天津神と国津神の違いは?正体は?
ここで少し、日本神話について紹介します。
日本の神々は、大きく2つにわけることができます。
「天津神(アマツカミ)」と「国津神(クニツカミ)」です。
天津神は、天界「高天原(たかまがはら)」に住まう神々で、天照大御神(アマテラス)をリーダーとします。
国津神は、日本列島「葦原中国(あしはらのなかつくに)」に住まう神々で、大国主命(オオクニヌシ)をリーダーとします。
日本はもともと国津神が治めていたのですが、あるとき天津神が現れて、「日本の統治権を天照大御神に渡す」よう、大国主命に伝えます。
大国主命はそれを拒否。両者は相撲で決着をつけることにします。
天津神側の将軍「武御雷(タケミカヅチ)」と国津神側の「建御名方(タケミナカタ)」が戦った結果、タケミナカタが敗北。大国主命は日本を天津神に譲ります。
その後、九州の高千穂に天照大御神の孫「瓊瓊杵尊(ニニギ)」が降臨。ここから天照大御神の日本統治がはじまります。
これが有名な「国譲り」と「天孫降臨」神話です。
国譲り・天孫降臨・神武東征はフィクション?史実?
その後、ニニギの孫であるカムヤマトイワレビコは、天津神に従わない「土蜘蛛(つちぐも)」を征伐しながら、東へ向かいます。
最終的に奈良の「大和」の地で初代天皇「神武東征」に即位。日本最初の統一王朝「大和朝廷(大和政権・ヤマト王権)」を開きます。
これが「神武東征」神話です。
天皇による統治は象徴というかたちに変わったものの、現在まで続いているといえるでしょう。天皇が「神の直系」といわれたり、天皇の祖神が天照大御神であるとされるのは、こういった由来があるからなのです。
ここまで読むと、前編の記事を読んだ方はピンときたかもしれません。
日本神話における国譲り~神武東征のお話は、渡来系弥生人の日本統一の過程を神話化したという説があります。
もともと日本列島には、狩猟採集民の縄文人が1万2000年以上にわたって暮らしていました。しかし渡来系弥生人が中国大陸から九州に移民。
彼らは稲作と鉄器という文化を持ち込んだ、稲作農耕民でした。渡来系弥生人はその人口と武力で縄文人を従え、縄文文化を否定した大和朝廷を開きます。
封印された縄文文化!アイヌや蝦夷は縄文人なのか?
縄文人は入れ墨文化を持ち、女性が家督を持つ母系社会でした。
また武器や身分制度もなかったため、縄文時代は戦争が存在しない平和な世界だったといわれています。
しかし大和朝廷では、入れ墨を野蛮な文化として否定しました。また天皇は男性しか継げなかったように、男系社会です。これらの文化は、現在の日本にも色濃く受け継がれています。
稲作農耕民にルーツをもつ天皇家は、今でも米を神聖視しています。ですから稲作に必要不可欠な太陽神である天照大御神を、日本神話の最高神としたのです。
天津神は渡来系弥生人の信仰する神々で、国津神は縄文人が信仰していた日本土着の神々だったのです。
実際に天津神に敗北したタケミナカタは、今では長野県の諏訪大社の祭神になっていますが、諏訪は狩猟採集民の集落でした。
渡来系弥生人の文化を受け入れなかった縄文人たちは、朝廷から「土蜘蛛」「まつろわぬ民」「鬼」などと呼ばれ、敵視されました。
東北の「蝦夷(エミシ)」や九州の「隼人(ハヤト)」、「熊襲(クマソ)」といった民族のことです。
蝦夷の王「アテルイ」と、初代征夷大将軍「坂上田村麻呂」の戦いは有名ですね。
ちなみに現在の日本で縄文人のDNAを色濃く受け継いでいるのが、北海道の先住民「アイヌ」です。
北海道には渡来系弥生人の血や文化が流入しなかったため、縄文式の狩猟採集文化や、入れ墨の習俗を今でも保ち続けています。
アニメ化もされた現在人気連載中(2020年4月時点)の漫画『ゴールデンカムイ』では、アイヌの少女「アシㇼパ」がヒロインですね。
宮崎駿監督の大人気アニメーション映画『もののけ姫』の主人公アシタカには、実は蝦夷の子孫という設定があります。
こういった古代史や日本神話に隠された歴史を知っていると、漫画やアニメといった作品にも新しい発見があるかもしれません。
今までなにげなく聞き流してきた日本の歴史や、エンターテインメントとして楽しんできた漫画やアニメに、古代神話のロマンが潜んでいることはわかっていただけたでしょうか?
日常の見方が、少しだけ変わるかもしれませんね。
前編から見ていただいた方はもちろん、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回のお話でいったんまとめましたが、コチラでは日本の統治権を奪われた大国主命のその後について詳しく紹介しています。
興味のある方はぜひご覧ください。
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