人肉を食べるというのは今では禁じられた行為となっていますが、昔から忌み嫌われていたわけではありません。
例えば中国では骨や人肉が漢方薬として扱われていたり、イタリアではキリスト教の神学者であるトマス・アクィナスの死体を修道士が食べていたりしています。
そんなカニバリズムの歴史の中では、嘘か真か分からない事件も。
今回は嘘か真か分からないイギリスの食人男「ソニー・ビーン」について紹介します。
公開日:2019年11月6日 更新日:2020年3月14日
スコットランドを震撼させた凶悪事件
大航海時代の幕が上がった15世紀。
スコットランドでは25年間にわたり、ある凶悪事件に立ち向かっていました。15世紀のスコットランドでは、多くの人々が行方不明になる事件が多発。
あまりにも犯人が見つからないために、誤って誤認逮捕してしまったこともありました。
そんな中、ついに長年警察を悩ませ続けた犯人を逮捕。
その際に逮捕された男がソニー・ビーンでした。
食人について描かれた映画はこちら!
膨らみすぎたソニー・ビーンの家族たち
ソニー・ビーンは、14世紀後半にスコットランドで生まれました。
根っから暴力的な性格であり、労働を嫌って家出。
その際に知り合った女性と、洞窟で暮らすようになりました。
彼らは洞窟の前を通る人々を次々と殺して、金品を略奪。
その傍らで女は14人の子供を出産。
そしてその子供たちは近親相姦によって更に子供を増やし、40人以上の大家族になりました。
しかし、あまりにも家族が増えすぎてしまったために、食料の調達が困難に。
その結果として、ソニー・ビーンとその家族はカニバリズムという禁断の行為に手を出すこととなったのです。
プロフェッショナルと化した食人家族
ソニー・ビーンとその家族は、25年以上殺人とカニバリズムを行ってきたために、無駄のない動きへと変貌していました。
襲う際には証拠を残さず効率良く殺し、丁寧に洞窟で解体。
その後、食料として食べられるように加工されていました。
大家族でありながら抜群のチームワークを生かした生活を行っていたために、警察からすぐに見つかることなく生活できました。
ただ、そんな生活は永遠に続くことはなく、ソニー・ビーンとその家族からの襲撃から逃げ切れた男性がスコットランドにある役所に報告したことがきっかけで、事件が解決することに。
大家族による食人生活は、一回のミスによって崩壊してしまいました。
逮捕された食人家族の顛末
あまりにも凶悪すぎる事件だったために、裁判が行われることなく、ソニー・ビーンとその家族は処刑されました。
処刑方法は家族の男子は両手両足を切断して失血死、女子は火炙りに。
ちなみに、見つかった時に子どもたちは殺人や人肉の加工技術を持っていたものの、言葉に関してはほとんど話せませんでした。
ソニー・ビーンは嘘の人物?
事件自体は凶悪なものですが、現在では嘘の事件ではないかという声が多く挙がっており、無数の情報を無料で調べられるWikipediaでも「伝説」と表現しています。
しかし、なぜソニー・ビーンは嘘の人物と言われているのでしょうか。
1.事件が発表されたのが19世紀
ここまで凶悪な犯罪であれば15世紀の資料に書かれてもおかしくないものの、なぜが歴史において最初に紹介されたのは19世紀。
ジョン・ニコルソンと名乗る人物が書いた「ローランドの昔話」という本で、初めて紹介されたのです。
この事件では15世紀のスコットランド国王であるジェームス1世も関与しているどころか、犯人逮捕のために数百人の兵士を向かわせています。
これほど大きな事件がなぜ19世紀まで発表されなかったのは非常に怪しく、嘘である可能性も。
ただ、あまりにも凶悪すぎるゆえに、当時のスコットランドで秘密にされていたという意見もあります。
2.非常に曖昧な情報
ソニー・ビーンとその家族が起こした事件には、曖昧な部分が数多くあります。
特に襲った人数が非常に曖昧であり、30人程度と考える人もいれば1500人襲ったと考える人もいます。
当時の資料があればもう少し絞り込めますが、上記で述べたとおりソニー・ビーンに関する情報は、15世紀の書物や公文書などに記載されていません。
ここまで曖昧すぎると、どうも本当に起きた事件とは言いにくいですよね。
ソニー・ビーンは嘘か真か
ソニー・ビーンそその家族による凶悪事件は世界へと広がり、現在ではカニバリズムを語る上では外せないエピソードとなっています。
しかし、この事件が本当に起きたものなのかどうかに関しては、永遠に分からないままなのかもしれません。
▼参考資料紹介(アクセス日2019/10/19)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソニー・ビーン
https://ja.wikipedia.org/wiki/カニバリズムhttps://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201403_post_3848/