これはかつて、京都府の山中で2人の主婦が凄惨な死を遂げた『長岡京ワラビ採り殺人事件』に関する記事の【パート5】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~4】をお読みください。

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -1-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -2-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -3-

【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -4-

遺体発見後 事件の動き

2人の遺体発見後、警察による検死によってさらなる事件の詳しい状況がみえてきた。

死亡推定時刻

検死による2人の死亡推定時刻は、両者とも事件当日23日の13時から14時。これは2人の胃の内容物(米粒、海苔など)の消化の進み具合から、食後1時間以内に殺害されたとの推測によるもの。※2人が正午(12時)に昼食を摂ったとの推測に基づく

メッセージの書かれたレシート (明石さんの遺留品) 

先述のとおり、2人の所持品は以下のように概ね共通していた。

・空の弁当箱 (入山前に勤務先のスーパーで購入したもの)
・採ったワラビ
・腕時計
・財布

一見すると、遺留品に関してこれといった異変はないようにも思われた。ところが明石さんのジーパンのポケットから見つかった1枚のレシートが、後にこの事件におけるさまざまな憶測を生むことになる―。


遺体発見時に見つかった1枚のレシート

問題のレシートの裏には殴り書きがあったのだが、その文字は非常に乱れており、その様からこれを書いた人が切迫した状況に置かれていたことが窺える。ちなみに、このメッセージは鉛筆で書かれていた。

「SOSのメッセージが書かれたレシート」

事件のカギを握る遺留品となった1枚のレシート。これは明石さんと水野さんが勤めていたスーパーのものであり、印字された日付は5月21日(事件の2日前)であった。

警察は2人の遺留品の中に鉛筆がなかったことから、遺体発見現場の周辺でこれを探した。結果的に鉛筆本体は見つからなかったが、水野さんの遺体発見地点から南に約17メートルの地点で折れた鉛筆の芯(先端部分)を発見。この芯は長さ1センチにも満たないごく細かなものであった。警察はこれを山中の地表からこれを見つけだしたわけである。驚くのは、これが周辺の地表の土砂をふるいにかけて見つけだされたということ。警察の根気強い捜査が窺える一幕といえる。

謎多きメッセージについて

オワレている たすけて下さい この男の人わるい人

レシートの裏に書かれたこのメッセージは謎が深く、これに関するさまざまな仮説が存在する。中でも多いのが、"犯人が書いた"というものである。
この謎多きメッセージこそ、本事件の核となる最大の要素である故、本記事では予めここでこの説を否定しておく。その理由を挙げればキリがないが、大きなものを挙げるとすれば以下のとおり。

筆者による仮説:"メッセージは明石さんが書いた"

犯人にとってのメリットが見当たらない


捜査のかく乱を狙って犯人がこれを書いたとしたら、犯人は女性ということになる。しかし殺害された明石さんの体内から犯人の精液が検出されている。つまり犯人は男性で間違いない。となれば、犯人がこれを書くメリットは無きに等しい。

筆跡鑑定の結果


筆跡鑑定の結果、"メッセージは明石さんによるものである"と1979年(昭和54年)5月28日の中日新聞が報じた。筆跡鑑定の結果に関して、筆者が懐疑的であることは否定できない。というのも、"この乱れた字から明石さんの普段の字との整合性が認められるのか"ということだ。とはいえ、ここは筆跡鑑定の精度を好意的に捉えることとする。

(このメッセージについての詳細な仮説は、本記事終盤の「考察パート」にて)


犯人の目撃証言が乏しいと思われた本事件。しかし何人もの容疑者が存在していた。中には非常に疑わしい容疑者が―。【パート6】へ続く。