【事件・事故】世界的有名ダイバーのユーリ・リプスキーはなぜ海底へ沈んだのか?その死の真相に迫る -前編-【考察シリーズ】

男女問わず、多くの人に親しまれるマリンスポーツである「スキューバダイビング」。
ハードルの高いイメージとは裏腹に、10歳以上であれば誰でも楽しむことのできる間口の広さが人気の理由のひとつです。

“酸素ボンベを背負い、まるで海の一員になったような気分で美しい海の仲間たちと一緒に泳ぐ”

宇宙空間さながらの無重力と色彩豊かな水中の世界は、潜った人しか知り得ない非日常。スキューバダイビングは、そんな海の魅力を全身で感じることのできる素敵なスポーツです。

 


しかし、そうした感動や癒しをもたらしてくれる海には、底知れぬ危険や恐怖が潜んでいます。ときにそれは私たち人間の命を容易く奪ってしまうことさえも。

私たちのいる地球は、実にその70%以上が海です。つまり、海こそが地球のメインステージであり、私たちは海から隆起した僅かな陸地で生活を営んでいるに過ぎないのです。

海は宇宙よりも謎が深い

そういわれるように、深く暗い海中には未知の生物や現象が存在する可能性が非常に高いことは間違いありません。海には未だ多くの謎が残されているのです。
今回はそれを象徴するような、あるひとりのダイバーに謎の死をもたらした不可解な事故について考察していきます。

※本記事における記述は、あくまで『オカルトオンライン』のライターであるテンペ・ワゾウスキによる考察です。ここで導き出した結論は限りなく真実に近いと自負しておりますが、”個人的な見解であること”、この点を踏まえた上でお読みください

不可解な事故の一部始終を収めたYouTube投稿動画『あるダイバーの最期』

今回、本記事で考察するのは、2000年4月28日にエジプトの「ブルーホール」(後述)と呼ばれる有名なダイビングスポットで起きた不可解な死亡事故です。


[事故概要]この事故で命を落としたのは、有名なダイバーであったユーリ・リプスキー氏。
彼は経験を積んだプロのダイバーであったにもかかわらず、ブルーホールでのダイビング中に突如、暗い海底へと沈んでいきました。しかも太陽光がキラキラと注ぎ込まれるような海面付近、足がつくほどのごく浅い地点から突然沈んでいったのです。このとき、彼の周囲には数人のダイバー仲間たちが遊泳していましたが、誰ひとりとして彼の異変には気付きませんでした。その結果、彼はひとりで海の底へ沈んでいくことになります。

これは例えば、心臓発作や失神などで意識がなくなったことによって沈んでいったのではありません。彼は海底に到達するまで意識はあったのです。それ故になんとも不可解な事故であるというほかありません。


彼はこの事故当時、水中カメラを装備しており、ダイビングの様子を撮影していました。これが結果的に事故の一部始終を収めることとなりました。

この事故についての考察を進めていくためには、まずは事故の詳細を把握していただかなければなりません。それにはユーリ氏自身が遺した映像をご覧いただくのが最も的確かと思いますので、事故の詳細を知りたい方は下記の動画を再生してください。

以下の映像はショッキングな内容であるため、視聴は自己責任でお願いいたします

「ブルーホール」とは?

この事故でユーリ氏が沈んでいったのは、海といっても”沖”ではありません。前出の通り、「ブルーホール」と呼ばれるスポットです。
ブルーホールとは、かつての洞窟や鍾乳洞などが何らかの理由により海中へ水没した地形のことを指します。
その特徴としては、浅瀬に位置していながら、ぽっかりと海に穴が開いたようにズドンと深くなっています。上空から見下ろすと、ブルーホールだけ異様なほどに水の色が濃くなっています(周囲との深さが極端に違うため)。

参考までに、分かりやすいブルーホールの写真をご覧ください。以下の写真はユーリ氏が沈んだエジプトのブルーホールではなく、ベリーズ(中央アメリカ)のブルーホールです。

ベリーズ(中央アメリカ)の巨大なブルーホール
直径313mの巨大なブルーホール故に、「グレート・ブルーホール」と呼ばれている。現地の人々には「海の怪物の寝床」と呼ばれて恐れられている場所。このことから、ブルーホールが危険なスポットであると窺い知ることができるのではないでしょうか。

ユーリ氏の沈んだブルーホールはどんな場所だったのか?

事故当時、ユーリ氏が沈んだのはエジプトのシナイ半島にあるブルーホールです。
このブルーホールは直径約60m最深部の深さは約130m。ここは海流がほとんどなく、美しいサンゴ礁や熱帯魚がみられることで、世界中のダイバーから人気の高いダイビングスポットとなっています。
こうした陰で、このブルーホールでは最近15年間(2020年現在)で、実に200名あまりのダイバーが命を落としているといわれています。僅か15年でこの数字であるが故に、もっと広い範囲で考えれば、そのトータルの死者数はかなりの数に上ることは容易に想像できるでしょう。ここはあらゆるダイビングスポットの中でも、最悪の致死率であることは間違いありません。
ユーリ氏が沈んだブルーホールは、

「美しい世界が広がる」「海流が穏やか」「人気がある」

こうした”甘い”部分だけ切り取って軽い気持ちでダイビングに臨んでしまえば、簡単に命を落としかねない非常に危険な場所だったのです。

以下はユーリ氏がダイビングしていたブルーホールの写真です。前出のグレート・ブルーホールのように円形ではないものの、こちらもやはり浅瀬が急に深くなっています(写真中央)。

画像引用:ailovei

また、以下の断面図によって、このブルーホールが思わずゾッとしてしまうような地形であることはお分かりいただけるかと思います。

[断面図]画像引用:DAHAB DIVERS Lodge

[上からみた図]画像引用:ailovei


【前編】となる本記事では、事件の概要をお伝えしました。この事件における結論は【後編】でお伝えします。

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『自分が読んでつまらないものは、誰が読んでもつまらない』これをモットーに100%クオリティの記事をお届け。執筆傾向は主に、「もしも○○したらどうなる?」の疑問を解消する【どうなるシリーズ】、未解決事件などを徹底リサーチ&自身の視点で切り込んでいく【考察シリーズ】。そのほか面白いテーマを見つけては記事にしています。心霊現象は完全否定派(ここだけの話)なので、心霊系の記事についてはいまのところ執筆する予定はありません(2020年3月現在)。 記事にしてほしいテーマのリクエスト受付中。どんなテーマでもOKですのでお気軽にどうぞ。